両手には降り注ぐかけらを

いつまでもいつまでも抱いて

最後まで笑ってる強さを

もう知っていた

(抜粋:Last regrets)


春‥‥‥様々な思いが交錯する季節。
別れ、出会い、幸せ、すがすがしさ、門出‥‥‥。
なんとも物悲しく、なんとも心地良い季節‥‥‥。
そんな中、人は何を想い、何を探すのだろうか‥‥‥。


T Don't Say The Word〜永遠の誓い〜


 夢‥‥‥

 夢を見ていた‥‥‥

 もう二度と見ることはないと思っていた夢‥‥‥

 永遠に離れたと思っていた事実‥‥‥

(そんなはずないよ‥‥‥)

 なぜ?私はもう‥‥‥

(だって、貴女は私だもの‥‥‥)

 えっ?

(私は貴女。私は貴女の心の鏡)

 鏡?

(そう、臆病で‥‥‥)

 違う‥‥‥

(我が儘で‥‥‥)

 違う‥‥‥

(独占欲が強くて‥‥‥)

 違う‥‥‥

(被害妄想が強くて‥‥‥)

 違う‥‥‥違う‥‥‥

(そのくせ、人に愛されたがって‥‥‥)

 違う‥‥‥違うよ‥‥‥

(それさえ、素直に受け止めないで‥‥‥)

(そんな貴女の内面の鏡だよ、私は‥‥‥)


 私の中で何かが砕けた‥‥‥。


 どこだろう、ここは‥‥‥

 何もない、何も感じない‥‥‥

 自分が居ることさえ感じれない、そんな暗闇‥‥‥

 そんな中を私はただ、何も考えずに歩いているだけだ。

 なつかしい

 私は、そんなことをふと思い出した。
 よくは思い出せない。でも、確かに懐かしかった。
 よく知っているはずなのに、思い出せない。

(栞‥‥‥)

 何もなかったはずのそこに、ぼうっと光のような物が現れる。
 そして、私に呼びかけてきた。私が愛している人の声だ。

「祐一さん‥‥‥?」

 私がその光のような物に呼びかけると、出てきたときと同じように消える。
 その後も、お姉ちゃん、お母さん、お父さん、学校の友達、先生‥‥‥。
 幾度と無く、知り合いが呼びかけては消えていく。
 どのくらいそうしていただろう?不意に、周囲が明るくなった。

 私は、よく知っている場所に立っていた。
 よく絵を描いていた公園。祐一さんとの思いでの、噴水のある公園。
 でも、何かが違った。まるで、フィルターを張ったかのように視界が赤く染まっている。
 しばらく事態が飲み込めずに立ちつくしていると、公園に一人の少女が入ってきた。
 ほぼ同い年くらいの少女と一緒に。

(あれは‥‥‥?)

 何となく見覚えがあった。

(あれは‥‥‥私?)

 元気に走り回っている少女と、そんな少女を見てにこやかに微笑んでいる落ち着いた感じの少女。

(じゃあ、あれはお姉ちゃん?)

 間違いない。あれは、過去の自分と姉。でも‥‥‥

(ここにお姉ちゃんと来た事なんて無い‥‥‥)

 そうだ、ここは私が絵を描くときに見つけた場所だから。

「そうだね。でも、だからこそあの二人はここにいる事が出来るんだよ」

 背後から突然そんな声が聞こえ、私は驚いて勢いよく振り返った。
 すると、そこにいたのは過去の私だった。

(なっ!?)

 私はもう一度背後を見て、過去の自分の姿を探した。過去の自分は、確かに公園の噴水の近くで遊んでいる。

(じゃあ、私の目の前にいるこの子は?)

私は、事態がつかめず混乱するだけだった。

「驚くことはないよ。ここは夢の中なんだから」

(ゆめ‥‥‥?)

「そう、夢。だから、実際になかったことでも起こすことが出来る。そう、自分が病気だったこともなかったことに出来る。姉と出かけたことにも出来る。何でも、思い通りに出来るんだ。所詮は空想だけどね」

(これは、夢なの?)

「そう、夢なんだ。そして、貴女は逃れられないんだ。この夢の世界から」

(夢の世界‥‥‥。何でも思い通りにいく‥‥‥)

「自分の欲しい物、あって欲しいこと、本当の事実‥‥‥全てが思い通りに変えられるんだ、この世界では。だから、苦しむ事はない」

(苦しむ‥‥‥?私は何に苦しんでいるの?病気は治った。お姉ちゃんはまた優しくしてくれる。祐一さんが側にいてくれる。それなのに、何に苦しまなければいけないの?)

「気づいているはずだよ。気持ちが離れていくこと、すれ違い‥‥‥それが怖いんでしょ?」

(‥‥‥そう、私は恐れている。祐一さんの気持ちがいつか離れてしまうかもしれないこと。お姉ちゃんとの些細なすれ違いから仲が悪くなることを)

「でも、ここならそんなことはない。全部が自分の思い通りになるんだから」

(全部?じゃあ、もう悩む必要はないの?)

「うん。ここにいれば、何も悩む必要はないよ。そう、永遠にね」

(苦しまなくて済む‥‥‥。だったら、ここにいるのもいいかもしれない。だって、そうすればずっと幸せな時間を過ごせるんだから)

「そうだよ。現実なんて辛いことしかない。このままここにいた方が幸せだよ」

 私は、差し出された少女の手を掴もうと手を伸ばす。
 すると、突然にその手を掴まれる。私は、魅入られたように過去の自分を見つめるだけで、金縛りにあったように掴んだ腕の持ち主を確かめることが出来ない。
 でも、私はその腕が誰の物であるか分かった。
 忘れることはない、決して忘れたくはない温もり。
 そうだ。私は、この温もりを感じていたい。偽りの中ではなく、本当の場所で。
 この温もりを感じるためだったら、苦しみなんて乗り越えられる。
 もつれた糸はなかなかほどけない。でも、、ゆっくりとゆっくりとほどいていけばいいんだから。
 私は、もう夢の中でしか走り回れない訳じゃない。もう、自分の足で、自分の意志で歩いていける。そして、自分で歩んでいける。自分が理想とする世界へと‥‥‥。
 だから、私は手を下ろした。そして、まっすぐと過去の私を見つめる。

「そっか‥‥‥。それが答えなんだ」

私の目を見て、ぽつりとそう呟く。

「分かった‥‥‥。もう何も言わない。自分の信じた道を歩いて行きなよ。夢はここでお終い」

そう言うと同時に、その姿が消えた。そして、辺りが光に包まれた。

夢‥‥‥

夢を見ていた‥‥‥

私の願望。私の願いのこもった夢‥‥‥。

でも、私はもう見ないだろう。
夢で叶えなくても、現実でその夢を叶えることが今の私には出来るのだから。
夢からの卒業。
そして、私は新しい時を歩く‥‥‥。


ありがとういわないよ

ずっとしまっておく

さよならは翳りない

夢の後静かに降り立つ

Fin


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後書き


やは!びば!ぶほっ!?てな感じで、kanonSS最新作(H11.3.12段階)完成〜〜!パフパフどんどんどんどん‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥む、むなしい(笑)。


(気を取り直して)さて、阿呆な物書きのワイは新たに期限つきの企画に参加することに決定した次第であります(笑)。
 現在、締め切り付き企画参加数、三。新たに一つなので四つになります(爆)。
 その上、某HPでは連載を書いているわ、オリジナル小説は書くつもりやわ、バイトはしてるわ、部活はしてるわ、勉強せなあかんわ、ゲームもしたいわで‥‥‥いつか死ぬな、こりゃ(爆)。
 まぁ、自業自得やし、自分が好きなことやからえーけど(笑)。
 さて、このSSは、「競作SS」と言う企画への投稿作品になります。参加第T号小説ですな。
 テーマは卒業か同窓会なので、書くのは卒業にしました。題名との繋がりは、一番最後の詩の部分(Last regretsより)とです。んでもって、自分に都合のいい夢からの卒業ってのをコンセプトにしてます。

 これは、恐らく初であろう、精神描写メインでいってます。ワイのSSでは、あまり重苦しい物は書いてない‥‥‥と思う。そう言うのあまり得意じゃないんで。
 今回は卒業って事だけど、普通に卒業じゃ作品は出来ない。じゃあ、精神的な物。でも、ただの卒業よりも‥‥‥、と考えた結果の作品でさぁ。大分ひねくれてるな(笑)。
 まぁ、「夢と言う物がなんなのか‥‥‥?」それを、こんな考え方をする人間もいるという感じで見て貰えればいいですね。
 感想などはぜひください。そう言うのは次回執筆への励みになりますし、ダメな部分を直すきっかけになるだろうと思うので。

 では!また今度お会いいたしませう‥‥‥ごきげんよう。



作成日 H11.3.12

作者  守護雷帝


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