たった一つ、私が欲しがった物─
 それは、闇の中へと誘(いざな)う黒き翼。
 それは、光の中へと誘(いざな)う白き翼。

 生と死の二つの結晶。

 黒き翼─それは死の象徴。
 白き翼─それは生の象徴。

 私はたった3週間の中で、二つの物を手に入れ、一つを捨てました。黒き翼を手に入れ、白き翼を手に入れ、そして黒き翼を捨てました。
 死を望んだ私が、生を求めた。生きて、あなたのそばにいたかった。もう、2度と離れたくなかった。
 だから、私は奇跡を信じた。
 起きない奇跡ではなく、本当に起こる奇跡を─


 何度、ここに来ただろう? 暗く、何もないところ。そう、『絶望』と言う夢の中に。
 でも、今までと違うことが一つだけある。これが『夢』ではなく、現実であると言うこと。本当の『絶望』であると言うことが─

「結局……私は何一つしてあげられませんでしたね。私は沢山のことをして貰ったのに、祐一さんには何一つ……」

 頬を熱い雫が滑り落ちた。死ぬことは怖くない。もう、覚悟していたことだから。でも─

「……大丈夫か?」
「分かった。じゃあ、作ろう、でかい雪だるま」
「たしかに、ドレスには身長と胸が足りないかもしれないな」
「これからもずっと、栞だけが好きだ」
「でも俺は、起きる可能性が少しでもあるから、だから、奇跡って言うんだと思う」

 祐一さんの言葉が、表情が、行動が次々と頭をよぎっていく。
 涙は止まることなく流れ、私は久方ぶりに泣いた。一番大好きな人の元を離れることが、温もりを失うことがこんなにも悲しいことだなんて思わなかった。
 そして、私が祐一さんを好きになってしまったせいで、祐一さんを悲しませることになってしまったことが、何よりも悲しかった。こんな悲しみを祐一さんに味合わせたくはなかった。でも……

「死にたく……ない。このまま死ぬなんて、絶対にイヤ……ッ!!」

 叶うことのないわがまま。私が心の底から願うこと。ただ、生きられるだけで良い。祐一さんのそばで生きられるだけで─

“大丈夫だよ”

 不意に声が聞こえた。視界の隅に、誰かがいた。間違いなく見覚えがある人。天使の翼をはやした─

「あゆさん……?」
“祐一君は、君と生きることを願っているよ”
「祐一さんが……? でも、私は……」
“祐一君と別れても良いの?”
「そんなのイヤです !!もっと、祐一さんと一緒にいたいです。一緒に歩いて、たくさんお話しして‥‥まだまだ、祐一さんとやりたいことがたくさんあるのにッ!!」
“それなら、大丈夫。純粋な想いが、道を造るから。後は、羽だけ”

 あゆさんの手に、片羽の古ぼけた天使人形が現れた。

“この無くなった方の羽はね、ある人が持っているんだ。でも、その人は忘れているから、何の役にも立たない。けど、もう片方の羽は栞ちゃんを連れていくことが出来る。祐一君のいる、元の世界に”

 人形が光に包まれ、私を取り巻いていく。やがて、光はその光量を増し、辺りを照らしていく。

“絶望は光へと変わったよ。後は、願うだけ。栞ちゃんが、本当に望むことを─”

 私の願いは決まっていた。願うことはたった一つだけ。

『祐一さんと共にいられる世界へ』


〜Happy End〜




 と言うわけで、またもややってしまいました、栞ちゃんSSなのだ〜。
 いやぁ〜某人のSSを読んでいたら、唐突に浮かんで、わずか30分で原案完成という(笑)。修正も含めて総合で、1時間かかってないですねぇ〜(爆)。
 まぁ、ワイの SSとしては短めだろうし、これくらいの量なら、実は大したこと無かったりしないでもない‥‥です(笑)。
 さて、そろそろ、純粋なKanon系列栞ちゃんSSはネタ切れです(笑)。なんで、しばらくは、他の作品のSSになるかもしくは完全パラレルワールドSSになります。まぁ、ネタが浮かべば、書きますが(笑)。
 と言う感じなんで、まぁ、執筆活動は続けて行くつもりなんで、今後ともおつきあいをよろしゅうに。
 であであなのだ〜。


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